ITマーケティングNews vol.15-2
「世界には4つの国しかない」- サイモン・クズネッツ(米)
“There are four kinds of countries in the world: developed countries, undeveloped countries, Japan and Argentina“
「世界には、4つの国しかない。先進国と発展途上国、そして日本とアルゼンチンである。」
これは、1971年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの経済学者サイモン・クズネッツの言葉である。
この言葉は、マクロ経済学の大家から見て、日本とアルゼンチンが例外的存在だったということを意味しているが、経済学の世界で広く知られるこの言葉は、今や我々日本人にとっては軽視できない警句になりつつある。
■例外①日本:途上国 → 先進国
敗戦後の焼け野原から奇跡の復興を遂げ、わずか20年で先進国の仲間入り(東京オリンピック開催の1964年にOECDに加盟)し、1972年には西ドイツを抜いて世界第二位の経済大国になった。「東洋の奇跡」と世界に賞賛された経済発展の恩恵を、私たち現代の日本人も大いに享受しているのだが、これは「当たり前」のことでは無い。日本をモデルにして工業化、経済発展を目指す国は多いが発展途上国を支援し、世界の経済発展をリードする「先進国」に昇格できた国はまだいない。従って、クズネッツにとって日本は例外的な存在で興味深かった。
■例外②アルゼンチン:先進国 → 途上国
もう一つの例外が、アルゼンチンである。世界第8位という広大で肥沃な国土を持つこの国は、ヨーロッパ諸国からの投資により1850年から全土に鉄道網を張り巡らせ、またイタリア・スペインなど南欧諸国から移民を積極的に受け入れ、内陸部の開拓を進めた。農業生産量は飛躍的に拡大し、穀物、肉類の輸出により、1929年にアルゼンチンは世界第五位の経済大国になるまで発展していたのである。しかし、ここからの転落が凄まじかった。
1929年からはじまった世界恐慌とそれを受けた英国のブロック経済圏への参入と経済的従属。経済格差拡大による国民の不満を背景としたナショナリズムの台頭、イギリス資本による産業支配への反発、ポピュリズム政治による放漫財政、経済政策の混乱。軍部によるクーデターと内乱、財政破綻。第二次大戦後に復興が進む欧州、日本とは対照的に経済的没落の一途をたどった。先進国から途上国への転落。経済学者から見て例外事例ということだ。
■名作アニメ「母をたずねて三千里」の時代背景
1976年から放映されたアニメ「母をたずねて三千里」は、イタリアのジェノヴァから、アルゼンチンのブエノス・アイレスに出稼ぎに行ったまま音信不通となった母を訪ねるために、9歳の少年マルコが1882年にアルゼンチンに渡って様々な人に助けられながら旅するという物語だった。(原作小説「クオーレ」は1886年の出版)この時代、アルゼンチンは、ヨーロッパから人々が出稼ぎに行く先進国だったのである。
日本の豊かさは、先人の努力と数々の幸運によってもたらされたもの
広く知られている通り、日本はバブル経済崩壊後30年以上の長期に渡る低成長の結果、政府債務がGDP比で239%(2017年)とダントツの世界一となっている。少子高齢化とその帰結としての人口減少が「国家滅亡の危機」とは言わないまでも、経済大国・先進国としての我が国のプレゼンスを失う可能性が高いことを我々は意識すべきである。低成長を肯定し「経済的な豊かさだけが、豊かさの本質ではない」と主張する者は、日本経済が没落し、食糧輸入にも困るような時代が来た時に、同じことを言えるか考えて欲しい。
「人はパンのみにて生くものにあらず、されどまたパンなくして人は生くものにあらず。」
子供たちだけでなく大人までもがテレビゲーム・スマホゲームに熱中している様を見て、この国の将来を憂うのは私だけではあるまい(山岸)
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神奈川県海老名市にある「増全寺」様はJR相模線・小田急小田原線「厚木駅」から徒歩7分にある、嘉応元年(1169年)に開山された浄土宗の寺院です。相模七福神の「福禄寿」をまつられています。