おいしい魚を子どもたちに届けるために!
学校給食向けの水産物の加工販売を手掛ける丸幸水産は、1927年創業の老舗企業だ。学校給食を通じて「子どもたちがおいしい魚を食べる機会を作り続けたい」と、産地直送の仕入れルートを開拓し、廉価で品質の高い魚を提供している。「今後は人材確保が経営の大きな課題」という小堺洋市社長は、7年前からHPを活用した採用戦略を加速。その詳細を、小堺社長とHP 制作担当の鳴海真希氏に聞いた。

──事業内容は?
小堺 もともと当社は、豊洲にあった造船工場などの事業所に給食を提供したのが始まりでしたが、工場の撤退などを機に、学校給食向けの事業に力を入れるようになりました。今では、約90%は学校給食向けの販売が占めています。
当社が拠点を置く東京都は、それぞれが給食を調理する自校調理方式の学校がほとんどであること、加えて少子化にもかかわらず湾岸エリアの子どもの数が増加しているという地域特性が、成長の追い風となりました。
──学校給食事業の現状は?
小堺 学校給食では使用する食材がある程度決まっており、価格表もなく電話でやり取りするのが主流でした。また、予算の関係上、調理のしやすさや価格優先で使う食材が決められ、品質が二の次にされている現状がありました。それを見たとき、「これではいけない」と強く感じました。
子どもたちが安心して食べられる、おいしい魚を提供するために、当社には、日本全国の漁場から直接仕入れる仕組みがあり、これにより中間業者を挟まずに仕入れることができます。

──「食育」にも力を入れているそうですね。
小堺 2005年に制定された「食育基本法」が、約10年かけて現場に浸透するなか、当社も「食育」を意識した食材の提供や献立の提案を行っています。また、子どもたちに魚のおいしさを知ってもらい、日本の食文化を守るための活動にも取り組んでいます。特に、地産地消を推進し、地域の特色を生かしたメニューを提案し、子どもたちに食材への理解を深めてもらえるよう努めています。
──今後の展望は?
小堺 日本は海に囲まれ、魚食文化を大切にしてきた国です。だからこそ、魚のおいしさを伝え続けたいと考えています。
一方で、インフレや漁獲量の急激な減少により、品質の高い魚を提供し続けるのが難しくなっています。それでも、妥協せず、おいしい魚を安く提供し、また、魚以外にも、無添加のベーコンや地産地消の野菜など、取り扱う品目を増やし、多様なニーズに応える努力を続けていきます。
経営面における課題としては、人材確保も大きなテーマです。魚の加工に必要な専門的なスキルを持つ人材が年々減少している関係で、7年ほど前から取り組み始めたのがHPの活用です。
「人材確保」戦略を支えるHPに

──新HP制作の背景は?
小堺 以前のHPは主に会社情報を掲載するだけで、求人や集客の効果はほとんどありませんでした。その後、人材採用が経営課題だと認識した折に、求人を目的にHPを全面的に作り替えることにしました。
制作会社を決定する際には、平田会計事務所さんにアイ・モバイル社をご紹介いただきました。平田会計事務所さんには、長年にわたり会計システムや経営面でのサポートを受けていて、その信頼関係があったおかげで、安心して依頼できました。アイ・モバイル社の制作HPは、操作性も良く、ブログ感覚で写真やテキストの差し替えが簡単にできる点も魅力的でした。
──特にこだわった点は?
鳴海 「シンプルさ」です。求職者の方を主なターゲットとし、仕事内容や企業情報を中心に、厳選して掲載しました。また、表示に時間がかかるつくりを避け、サイト来訪者が知りたい情報にすぐアクセスできるような構成とし、わかりやすさを目指したデザインにしました。
──新しいHPの効果は?
小堺 年に1~2件の問い合わせがあり、実際に採用に至ったケースも2~3件あります。求人ポータルサイトなどからの応募者と比較して、自社HP経由で応募してくる方は、私たちの理念に共感してくれる方が多く、会社の方針と親和性が高い人材が集まっています。
また、想定外の効果として驚いているのは、保育園からの問い合わせが増えたことです。保育園は民間経営が多く、学校と比べてHPから情報収集する方が多いようです。骨を取り除いた加工魚などのニーズが高く、これに対応する形で保育園向けのコンテンツを充実させることも検討しています。
未来につながる事業活動を
── HPの使い勝手は?
鳴海 ブログのような感覚で更新ができるので、簡単な修正や写真の差し替えであれば自分たちでできます。文字の修正や画像の更新がメインの作業で、あまり頻繁に内容を変更しているわけではありませんので十分満足しています。
──今後のHP活用法は?
鳴海 保育園向けのコンテンツを強化したいと考えています。先述の通り、保育園からの問い合わせが増えている中で、ニーズに応えられる情報や商品紹介を追加すれば、より効果的なHPになると思っています。
小堺 また、SNSとの連携も視野に入れています。例えばインスタグラムで給食動画を投稿している人とコラボしたり、商品紹介を発信したりするのも面白いのではないでしょうか。さらには、発注システムと連動させたり、エリアごとの情報発信を強化したりすることで、より効率的な運用が可能になると考えています。
──HPを通じて伝えたい想いは何ですか?
小堺 水産業界はこの10年で非常に厳しい状況にあります。サバやスルメイカ、シャケといった大衆魚の漁獲量が減少し、価格も10年前の数倍。それでも、少しでも多くの人においしい魚を食べてもらい、日本の魚食文化を守りたいと考えています。
HPを通じて、私たちの想いに共感してくれる人材や新たな取引先さまと出会い、未来につながる事業活動を続けていきたいですね。
(取材協力・平田会計事務所)
有限会社丸幸水産
住所:〒135-0043 東京都江東区塩浜2-11-28
URL:https://www.maruko-suisan.co.jp/
(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
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