ITマーケティングNews vol.3-2
アイ・モバイル Business column
■「労働生産性の国際比較」の中身
米国の労働生産性は、日本の1.63倍!
「労働生産性の国際比較」2016年版によると、日本の労働生産性は、74,315ドル(783万円)、米国は121,187ドル(1,276万円)でした。
米国は、日本の約1.63倍という高い水準です。ただし、ここで比較されている「労働生産性」は、GDPを就業者数で割って計算した、 「国民1人当たりGDP」と似たような数値で、各国の「労働者の能力」や「労働効率」を比較したものでないことは、前号で解説しました。
「労働者1人当たりのGDP」は、実際にはその国の産業構造に大きく依存します。国内で見ても、不動産業、金融業など資本集約型産業の1人当たりGDPは、他の産業を圧倒しています。(労働者数は少なく、収益が大きい=収益性が高い)ウォール街という世界一の金融街を持ち、IT・ハイテク産業で世界をリードし、今や世界最大の産油国でもある米国の1人当たりGDPが、国際比較した場合に高くなるのは当たり前のことです。これは「労働の質」「働き方」と直接的な関係はないのです。
■ ワーク・ライフ・バランス(WLB)の推進と、経済成長の両立
日本政府は、2015年度490兆円だった名目GDPを、2020年頃までに600兆円に引き上げるという、非常に高い目標を掲げています。過労死や長時間労働が社会問題として注目されたことも影響して、目下「働き方改革」「ワーク・ライフ・バランスの推進」といった取組みが注目されていますが、はたして「働き方改革」で、経済成長は実現するのでしょうか? ケーススタディで検証してみましょう。
【ケーススタディ】
A社は、高価格のカウンセリング化粧品を製造、販売する中堅企業です。人手不足のため社員は夜遅くまで残業しています。さらなる生産性(収益性)向上を目指して、A社の経営陣は残業廃止の方針を打ち出しました。その後、A社では、徹底した業務効率化を推し進め、残業がほとんどなくなり、マスコミで、「ワーク・ライフ・バランス」の先進的導入例として紹介もされました。
しかし、それから一年程経つと・・・・
最近、離職者が急増したA社。採用で補充を図ってはいるものの、採用自体が困難で人手不足から営業活動に支障が出ています。さらに、巷では世帯収入の減少による消費の低迷が大きく取りざたされるようになりました。A社の主力であるカウンセリング化粧品の売上げも減少し、業績悪化に歯止めがかかりません。一体何が起こったのでしょう。
■ 生産効率の向上とデフレの悪循環
多少極端に見えるかもしれませんが、現実に起こり得る「縮小均衡」シナリオです。これは、日本経済の「失われた20年」の再現です。技術革新で生産効率が上がった後も、従業員の所得(総賃金)が変わらなければ、「ワーク・ライフ・バランス」は改善し、従業員の生活の質向上、消費拡大による経済成長という好循環が生まれるでしょう。
しかし、IT化などによる生産効率アップ・コストダウンの恩恵を、労働者が享受できなければ、「ワーク・ライフ・バランス」を叫んだところで空しく、経済の縮小均衡により国民経済は貧しくなる一方です。
では、人口減少国家の日本が、消費拡大、経済成長を持続するために、何をすれば良いのでしょうか? 続きは、次号にて。
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(構成 / アイ・モバイル ITマーケティング研究所)
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