戦略経営者掲載コラム 2014年5月

ホームページを活用して販路拡大に成功

香川県高松市にある配達専門の弁当屋“ランチのさぬき亭”。昨年、創業２０周年を迎えた同社は、ホームページを活用して多くの新規顧客を獲得している。今回は、経営者の国安啓司氏、顧問税理士の樋口卓也氏に話を聞いた。

低価格のこだわり弁当

――なぜ配達専門にされたのですか。

国安　もともとは持ち帰り専門の弁当屋でスタートしました。当初は、弁当屋も少なくそこそこ売れていたんですが、コンビニが増えた影響もあって、売上が段々落ちていきました。そこで、近くの事業所にチラシを配って、お昼の弁当の配達を始めたのがきっかけでした。１２時までに車で配達できる、店の周囲１キロくらいのお得意様を回るようになりました。ここ１０年以上は配達専門でやっています。

――こだわりを教えてください。

国安　私が毎日焼いている卵焼きです。塩と白だしだけで焼くんですよ。焦げ目のない真っ黄色な卵焼きです。他の惣菜もできるだけ手作りを心がけています。お米は１００％香川県産。野菜も地元のものにこだわっていて、産直の市場に行って仕入れています。日替わり弁当は、和食と洋食を選べます。だいたい１ヶ月間、毎日違う内容になるようメニューを考えています。

ここはご存じのとおり、うどん県です。うどんが最大のライバルになるので、弁当は安くて当たり前。同業他社なみに価格を抑え、より手のかかったものを提供できるように努力しています。また、急なお客様の注文にもできる限り応えます。「今からお弁当２８個間に合いますか？」と朝電話がかかってきても、できないとは言いません。できると言ってから考えます（笑）。一度利用してもらえれば、また次につながるかもしれませんから。

日替わりメニューを毎週更新

――ホームページ（以下ＨＰ）を導入されたきっかけを教えてください。

国安　樋口先生から今はＩＴの時代ですよと「ＢＥＳＴホームページ玉手箱コース（ＴＫＣ自計化システム利用企業対象で３年間無償）」を勧められました。ＨＰには興味があったんですが、８０万円ぐらいかかると友人から聞いてたんです。日持ちしない弁当屋でどれだけ効果があるか分からないのに、それは無理だと思っていました。それが無料で作れると聞いて、即やってみようと開設しました。

――頻繁に更新されていますね。

国安　お弁当の内容は毎日替わるので、１週間分のメニュー表を毎週更新しています。あとは、お花見のお弁当など、季節ごとに自分で写真を撮って掲載しています。どんなに綺麗なＨＰでも、更新しなければずっと検索順位の下の方にいて誰も見てくれない。そのことをＴＫＣ経営支援セミナーで学びました。それからは欠かさずに更新しています。

新規顧客からの注文が急増

――ＨＰの反響はいかがですか。

国安　ＨＰを開設してから、これまでは絶対にありえなかったところから注文が入るようになりました。以前はひらすらチラシをまいて、反応があるのはだいたい決まったお客様だけでした。それが今は県外の方や大企業からもＨＰを見て注文をいただくようになりました。まさかうちがテレビ局のロケ弁を作ることになるとは夢にも思っていませんでしたよ。高松に試合に来た県外のスポーツチームや、運動会用のお弁当など、自分が思っている以上に色んな所で必要とされているんだと本当に驚いています。去年の７月には、夏休みの引き合いも重なって対前年比で売上が３０％以上プラスになりました。ＨＰの貢献が大きかったのは間違いないです。

――今後の展望についてお聞かせください。

国安　今は月に８００人ぐらいの方がＨＰを見てくださっているので、注文をもっと増やしていけたらと思っています。こだわりの卵焼きをＨＰでもアピールしたいですね。焼いているところを写真に撮って載せられたらいい。また、個人の方からもＨＰを見て注文や問い合わせが入るようになりました。今は事業所のみですが、個人のご家庭にも配達できたら、もっとチャンスがあると思うんですよ。一人暮らしで買い物が困難なお年寄りもたくさんいらっしゃいます。力を蓄えていって将来的にそこまで対応できるようになりたいと考えています。

――中小企業のウェブ活用についてどのようにお考えですか？

樋口　関与先様に売上を上げて欲しいという思いからＨＰをお勧めしています。でも作っただけでは効果は出ません。ちゃんと活用しようという意識を持って取り組むことが必要です。ランチのさぬき亭様は、「高松市　お弁当　宅配」と検索すると必ず１ページ目には出てきますし、ＨＰの効果が売上にも顕著に表れています。それは毎週更新を頑張ってこられた賜物ではないでしょうか。お手本として、より多くの関与先様に活用していただきたいと思います。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。