戦略経営者掲載コラム 2014年8月

事業承継を機にホームページ活用で取引拡大

テント倉庫や間仕切りシートの組立・施工、メンテナンスまでトータルでサポートする有限会社サンワシート。茨城県結城市で４０年の歴史を持つ同社は、５年前にホームページを開設。これまで多くの受注につながっているという。経営者の岩崎聡・美和ご夫妻、顧問税理士の岩田修一氏、監査担当の中谷和夫氏に話を聞いた。

需要が高まるテント倉庫

――開業されてどのくらいになりますか。

岩崎　両親が２トントラックとミシン１台で始めたのが今から４０年前です。開業した当時は工場もなく、出張でトラックシートや幌の修理をしていたと聞いています。その後、工場で製作も行うようになり、平成元年に有限会社化したのをきっかけに、テント倉庫や間仕切りシートも手掛けるようになりました。４年前に社長だった父が亡くなり、私が後を継ぎました。

――どのような依頼が多いですか。

岩崎　現在は、テント倉庫の発注が増えています。完全受注生産で、注文を受けてから用途や要望に合わせて製作します。工場で作られた製品の一時保管庫や作業場、あるいは荷さばき場など用途はさまざまですが、一般的な倉庫に比べて低コストで建てられるのが利点です。東京オリンピック開催が決まってから建設業界が忙しくなってきて、倉庫の需要が高まっていると感じます。建てた後のテントの張り替え依頼も多くなっています。空調が必要になる夏と冬には、工場の間仕切りシートの注文が増えますね。

――強みを教えてください。

岩崎　テント倉庫でも間仕切りシートでも骨組みから製作できるのが強みです。何もないシートに鉄骨を入れることで、風が吹いても問題ない強度を保つことができます。もともとは父が何も分からない状態から、溶接機を買って鉄骨を使い始めたんです。何もないところからやってみようというのがすごく尊敬できる部分です。自分も、ジャバラ式カーテンなど、オリジナルのものを考えて作っています。より良いものを作ってお客さまに提供したいといつも考えています。

ＨＰから大型案件を受注

――「ＢＥＳＴホームページ」（ＴＫＣ会員税理士関与先企業対象）を採用されたきっかけを教えてください。

岩崎　（監査担当の）中谷さんに話を聞き、これから経営していく上で、ホームページ（ＨＰ）があった方が事業内容の公開、新規顧客を得るために役立つのではないかと父と相談して採用を決めました。

――反響はいかがですか。

岩崎　これまでに１０件ほど成約に結びつきました。金額も徐々に上がってきています。テント倉庫の依頼が多く、１件あたり数百万円規模になります。中には、過去最大のサイズの倉庫もありました。父の時代は、地元のお客さまが中心でしたが、秋田県など県外からも依頼が来るようになり、商圏も広がりました。実は、ＨＰを開設した時は、本当にこれで売り上げが伸びるのかなという気持ちもあったんですが、こんなにも効果があり驚いています。

――今後、ＨＰをどのように活用していきたいとお考えですか。

岩崎　今までのお得意先だけではここまで伸ばすことはできなかったので、今後もＨＰを活用して売り上げを増やしていければと思っています。

美和夫人　これまでは更新があまりできていなかったんですが、簡単に編集できる新しいシステムに変更したので、もっと自分でどんどん更新していきたいですね。施工途中の写真の掲載や補修テープの活用方法など、お客さまに分かりやすくＰＲしていければいいなと思っています。また、来年４０周年を迎えるので、記念のお知らせやセールなどのキャンペーン情報も随時更新できれば、もっと多くの人が見てくれるようになるかなと考えています。

――中小企業のＨＰ活用についてお聞かせください。

中谷　今は何を調べるにしてもインターネットで検索する時代です。サンワシートさんは、規格物を大量に作って売る商売ではないので、ＨＰを上手く利用すれば仕事につながるのではとの思い、開設をお勧めしました。いまでは、年商のなかでＨＰ経由の販売が大きなウェイトを占めています。先代の社長さんから若い息子さんに代わって、お客さんとの深いつながりが同じように保てるか少し心配でしたが、ＨＰで新しいお客さんが入って来られたという話を時々お聞きし、本当に良かったと思っています。

岩田　ＨＰを導入した後、若い社長に交代し、全然違った経営ができるようになった良い事例です。ただ、年配の社長が経営する会社にはＨＰの導入がまだまだ進んでいない印象なので、ＩＴ活用の啓蒙を今後も継続していきたいです。必要なのはどんな人でも簡単にＨＰが更新できるような仕組みでしょう。サンワシートさんも画面を見ながら編集できる新システムに変えられました。今後は、自社更新回数を増やして、さらに活用していただければと思います。

この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。