インターネット通販への参入で時代の変化に柔軟に対応

インターネット通販への参入で時代の変化に柔軟に対応

埼玉県草加市で2021年5月に工具販売のインターネット通販をスタートしたZERQ合同会社。同社の村木龍男社長は、土木や外構工事などを手がける株式会社村木建設の代表というもう一つの顔も持つ。村木社長がオンラインショップでの販売をスタートした狙いとはいったいどこにあるのか。じっくり話を聞いてみると、そこには時代の変化に柔軟に対応し、事業と従業員を守りたいという、経営者の戦略があった。

 

新事業立ち上げでリスク分散

村木龍男社長(左)と格闘家の松倉信太郎氏

――建設業を営みながら、ZERQ合同会社を始めた狙いは?

村木 9年ほど前に創業して以来おかげさまで、従業員も10名を超えるまでになりましたが、頭のどこかで「建設業1本でいいのか」という思いが常にありました。
そうしたなか、20年から新型コロナウイルス感染症が流行。飲食業や観光業の経営難が叫ばれ、建設業も決して安泰とは言えない状況に陥っています。帝国データバンクによれば、20年2月以降の企業倒産件数のうち、「建設・工事業」は「飲食店」に次いで2番目に多い。ゼネコン大手が、現場で新型コロナウイルス感染者が出たため、100カ所以上の現場をストップさせたというニュースをご記憶の方も多いと思います。どんなに経営努力をしていたとしても、事業の柱が1本しかないと、何らかの社会情勢でその事業が立ち行かなくなったとき、従業員を守れない。そんな危機感から、新たな事業を始めようと思ったのがZERQ合同会社を立ち上げた理由です。

※ 参考…帝国データバンク「新型コロナウイルス関連倒産動向調査」2021年5月31日発表資料による


注文フォーム

――ネット通販を選んだ理由は?

村木 正直、こだわっていたわけではありません。たまたま建設業を営むなかで、工具の商社と繋がり、当然ですが工具を日々扱う仕事なので商品知識もある。というわけで、まずは始めやすいところからスタートしてみようと思っただけなんです。そして偶然、アマゾンの日本法人で働いている知り合いがいたので、「色々相談できるのでは」とアマゾンに出店することにしました。

――スピード感のある取り組みという印象です。

村木 それほどスピーディにことを進めたとは思っていません。コロナ禍がきっかけだったとはいえ、もともと経営のリスク分散のために他の事業をしてみようという気持ちはありましたから。同じ会社で別事業を持つとなると、経理の業務が複雑になると考え、新たに会社を登記したのが21年の初め。そこからウェブサイトを作り、商品を用意して販売をスタートさせるまでは2、3カ月かかっています。本業もやりながらなので、どちらかというと、少し時間がかかってしまったなという印象です。

より多彩な事業展開へ

柔道選手のスポンサーTシャツ

――手ごたえはいかがでしょう。

村木 まだスタートさせて数カ月なので、試行錯誤している段階です。建設業と違い、オンライン販売は顔の見えないお客さまが相手です。多種多様な価値観があるなかで、何が受け入れられるのか、どんなニーズがあるのかを探るのは簡単ではないですね。今のところは、個人客と法人客、どちらもターゲットにしていますが、ゆくゆくはどちらかに絞っていくかもしれません。

――まずは市場調査ですか。

村木 そうですね。あまり最初から方針や手法を決めてしまうのは良くないと考えています。経営全般に言えることですが、ある程度、柔軟に事業展開を考えておかないと、時代の急激な変化には対応できません。特にネット通販の世界は変化のスピードが速いので、顧客や将来の顧客になりうる層の傾向を見極めながら進めていこうかと。とはいえ、薄利多売な商品ではなく、ある程度高価格帯のものを扱っていく予定です。あくまでも本業があっての通信販売。薄利多売では人的コストもかなりかかってしまいますから、そのあたりのバランスは意識しています。


――具体的には?

村木 商品を販売しているアマゾンで、他社の商品ページを観察しています。特によく見るのがレビュー欄。星が2、3個と、比較的低評価のレビューは参考になります。例えば「商品のこういうところが不満だった」「ここがこうなっていればいいのに」という声は、商品作りのヒントになります。将来的には、OEMでこうした改善点を反映した商品を作る、などといった動きもしていきたいですね。

――ネット通販という枠を超えて事業が広がる可能性もありますね。

村木 そうですね。突拍子もないように聞こえるかもしれませんが、実は小売業だけでなく、飲食業も視野に入れています。1つの事業で1億円を作るよりも、10の事業で1000万円ずつの利益を出してトータル1億円にした方が、リスクが少ないという考えもありますよね。どちらかというと、私はそう考えています。
先ほどもお話ししましたが、私の経営モットーは「柔軟性のある経営」です。自分の仕事に対するプライドはもちろん必要ですが、プライドに固執して柔軟性がなくなれば、時代の変化に追いつけなくなります。


この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

村木龍男社長(左)と 格闘家の松倉信太郎氏

村木龍男社長(左)と 格闘家の松倉信太郎氏

ZERQ 合同会社
住所:埼玉県草加市柿木町1280
TEL:048-948-7431
URL:https://zerq-331.tkc.best-hp.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

この記事への感想やご意見、サービスに関するご質問がありましたら、下記ボタンよりお問合せください。


ホームページの制作に関するご相談・ご質問は下記Smartpageサイトよりお問い合わせください。

■ ホームページ制作ツール「Smartpage」

■ ホームページ制作事例

■ アイ・モバイル株式会社ITマーケティング研究所へのお問い合わせはこちらから