ペット事業を通じて社会に貢献するトリミングサロンのウェブ戦略
前職は美容師という経歴を持つBJ dog Plus 株式会社の五十嵐由社長。カットする犬たちの個性を引き出すトリミングだけでなく、動物保護活動や愛犬のデンタルケアイベントなど幅広く「ワンちゃんと飼い主さんの幸せな関係」の実現に向けて奮闘している。五十嵐社長の経営哲学と「挑戦する姿勢」に迫ってみた。
はじまりは自宅サロン
――トリミングの世界に入ったきっかけは?
五十嵐 この世界に足を踏み入れたのは、当時飼っていた愛犬のトリミン グが「なんだか定番すぎてつまらない」と感じたのがきっかけでした。もともと関西で美容師として働いていたのですが、人間のように犬たちも、その子の個性を引き出すカットがあってもいい。そう思ったのです。
――それで美容師からトリマーに転身を?
五十嵐 一念発起して専門学校に通い始めました。卒業後は動物病院とトリミングサロンに勤務しながら、休日になると愛犬の散歩中に出会った愛犬家仲間のワンちゃんを自宅でトリミングさせてもらっていました。本当は駄目なのですが当時は少しでも経験を積みたいという想いが強かったのです。
――本格的にサロンをオープンしようと思ったのはなぜですか。
五十嵐 自宅でのトリミングがだんだん評判となり、休日の早朝から夜中までやっても終わらないほど依頼が増えてしまいました。私のトリミングが好きで通ってくださっているお客さまの想いに応えたいという気持ちも強く、独立することとなりました。
――オープンにあたり融資も受けられたとか。
五十嵐 店舗開業には先立つ資金が必要でした。自宅で仕事をする傍ら、2年ほどかけて毎週横浜市の無料経営相談窓口に通い、アドバイスをいただきながら事業計画を作成。日本政策金融公庫から創業融資を受けることができました。自己資金があまりないなかで融資が受けられるケースは稀だったそうですが、当時顧客が既についていたことなども後押しになったのかもしれません。
――トリミング事業以外にもペットの保護活動などさまざまな取り組みをしておられますね。
五十嵐 トリミングサロンの他にケア用品・フードなどの物販やドッグデンタルサロン・整体のイベント開催などにも取り組んでいます。 また、ドッグレスキュー活動にも携わらせていただいていて、非営利団体として「BJドッグレスキュー」を信頼ある仲間が立ち上げ、一緒に保護活動や里親募集などを行っています。
――2020年に法人化した理由は?
五十嵐 大きな理由の一つが雇用です。今後の事業展開を考えたとき、私ひとりの力ではマ ンパワーが足りません。しかし雇用を増やすには、待遇やスタッフが安心して仕事ができる環境作りをすることが大切です。そういった点で法人化させた方がいいという判断に至りました。
法人化するにあたっては、TKCの会計ソフト『FXシリーズ』を活用し、会計の見える化を行い、TKC会員の伊藤正孝税理士先生から、時には厳しくそして人間身ある暖かい指導していただいています。広告宣伝においては、そろそろ無料のHPではなく、しっかりとしたサイトを作った方がいいという伊藤先生のアドバイスのもと、アイ・モバイル株式会社を紹介していただきました。
―― 自社HPを整備したのはちょうどコロナ禍のタイミングだったそうですね。
五十嵐 トリミングは本来、店舗に来店していただかなければならない事業ですが、一方で、雇用や物販などにおいては、HPの重要性がコロナ禍によってますます増してきた。そんなタイミングだったように思います。
HPで経営の幅を広げる
――HPを開設して変化はありましたか。
五十嵐 もちろん集客効果はありましたが、もっともHPの存在意義を感じたのが雇用です。待遇や給与だけが目当てで来るような人材では長続きしにくい。大切なのは、企業理念に共感し、一緒にやりたいと思ってもらえる人かどうかです。HPの開設によって、当社が目指すビジョンをきちんと読み込んで応募してもらえる環境が整いました。 人材募集はトリマー専用サイトで行い、エントリーは当社のサイトから行うという動線設計にすることで、採用時のミスマッチを減らせたと感じています。
――HPでは物販にも取り組んでおられます。
五十嵐 もともとトリミングサロンに通ってくださっているお客様に向けて、愛犬のため のフードを店頭で販売していました。これをHP上でも購入・決済できるようにしただけではありますが、手応えは感じています。
ペットレスキュー活動もしているなかで、当社のサイトから寄付のために遠方からフードやペット用品を購入してくださるお客さまも少なくありません。ただ、21年夏に環境省がアマゾンジャパンと提携し、支援物資をアマゾンサイトから購入する仕組みを後押しした影響で、自社サイト内での物販の様相も大きく変わりました。時代の変化にどう対応していくべきかは、今後の課題です。
――今後のビジョンを教えてください。
五十嵐 自社の経営理念や時代に合致し〝ペットとの共生〟を実践するため、トリミング事業に限らず、私たちができることに幅広くチャレンジしていきます。 終生ペットとの暮らしをお手伝いするサービス『+Plus1』に加えて、非営利で取り組んでいる保護活動にも引き続き取り組んでいきます。
そして、当社には、ペット事業を通じて社会貢献するという、どこにも負けない〝想い〟があります。それを実現するために、これからも売り上げを伸ばし、雇用を生み出すことができる事業展開を目指していきます。
この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
BJ dog Plus 株式会社
住所:神奈川県横浜鶴見区豊岡町40-13吉田ビル1F
TEL:045-717-8400
URL:https://www.bjdogplus.com/
(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
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