“アート”の魅力を社会に訴え目指すビジョンを強力に推進
大手繊維メーカーを退社して独立後、1992年に中村デザインスタジオを設立した中村宏美社長。企業のデザイナー向けの美術鑑賞に関する講義やセミナーの実施、繊維業界紙へのコラム執筆、個人向けのアート講座を企画するなど精力的に活動している。コロナ禍により大きく変化した事業を取り巻く環境にしなやかに対応しながら、自身の目指すビジョンを推し進める中村社長。
その事業への想いやHPを活用した広報戦略について話を聞いた。
時代に応じた柔軟な事業シフト
──業容は?
中村 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する前までは、ファッション関連のデザインオフィスとして事業を展開していました。
具体的には国内外のアパレルデザインや生産現場へのアドバイスなどが中心でしたが、現在は、セミナーやアートツアーなど美術関連の事業にシフトしています。
──シフトの理由は?
中村 「日本のデザイナーには、もっと美術的な情報や知識が必要」という想いからです。
海外ではデザイナーたちが美術史や芸術学といった学術的な視点で創造力を育んでいます。
一方で、日本のファッション業界では、技術的スキルに重点が置かれ、まだまだその視点が足りません。
──今後の事業展望は?
中村 徐々に美術館のイベントも増え、少人数であれば美術館に足を運ぶこともできるようになっています。
今後は、法人向けのアート関連事業に、より力を入れていきたいですね。
デザイナーに限らず、ものを作る仕事をする方にとって美術に触れることは大切で、ビジネスパーソンにとっても、教養としての美術知識の習得はあらゆるシーンで役立ちます。
新規顧客獲得にHPが貢献
──HP開設とリニューアルのきっかけは?
中村 自社サイトを持つことは当たり前と思っていたので、税務顧問の山口陽一先生に相談したところ、アイ・モバイルさんを紹介していただきました。当初のHPは、法人向けのコンテンツが主たる内容でしたが、アート関連事業にシフトするタイミングでリニューアルをするなど、常に「新鮮なHP」を維持することを心がけています。
──リニューアル時の注意点は?
中村 HPは会社案内としての役割で十分という認識でしたが、アート関連事業にシフトしてからは、もっと個人のお客さまに対しても魅力的な情報発信ができる場にしたいと……。なぜなら、コロナ禍で企業研修や団体向けのコンテンツだけでなく、個人客へのアプローチが必要になってきたからです。堅苦しくなく「セミナーに参加してみたい」と思っていただけるようなデザインを、と相談したところアイ・モバイルさんが提案してくれたのがヨガ教室や美容室のHPに近いものでした。その「原型」から、当社らしさを表現すべくブラッシュアップしていきました。また、オンライン決済システムも導入しました。当時はコロナ禍ということもあり、外出が制限されていたため、自宅で決済ができるシステムは受講生から好評でした。
──集客でどのような変化が?
中村 当社のアート講座のユーザーの半数以上がリピーターなのですが、HPから興味のある講座を選んでお申し込みいただく方が増えました。
また、新規のお客さまもHPを参照してから参加される方が多くなったように思います。もちろん、法人向けのサービス展開でもHPの効果は絶大です。
当社の活動内容を知るための確認ツールとして閲覧してくだる例もありました。さらに、アート解説や講師を探すお客さまからHP経由でお問合せいただくこともあり、HPが営業マンのような役割を担ってくれていると実感します。
──更新作業は?
中村 分からないことがあったり忙しい時にはサポートセンターに聞いたり依頼したりできますから安心です。また、フェイスブックをHPに埋め込み表示し、更新することで当社を身近に感じていただき、問い合わせに対する心理的ハードルを下げるようにしています。SNSとの両立も大切ですね。
アフターコロナを見据える
──アフターコロナへの戦略は?
中村 繰り返しになりますが、徐々に美術館など現地で美術解説ができる環境に戻りつつあるので、法人向けのアート講座や研修により力を入れていきたいですね。また、前々からやりたいと思っているのが、視覚障がいをお持ちの方向けの美術解説で、やり方を模索しながら挑戦したいと思っています。
オンライン会議システムを使った講座なら、美術館に出かけること自体がハードルになっている方も気軽に参加いただけるのではないでしょうか。
──可能性が広がりますね。
中村 オンライン会議システムについては、その意義をあらためて見直して講座の内容にも活かしたいと思っています。ビジネスパーソンが朝の隙間時間にアートの教養を身に付けられる講座や、遠方の方に向けた講座などオンラインならではのものを開催できたらいいですね。また、動画配信などにもぜひチャレンジしていきたいです。
配信した動画をHP上に掲載し、いつでも見られるような状態にできれば利便性が向上します。それと、何度も言いますが、法人向けサービスは今後のポイントです。美術への理解を深めることはビジネスに大いに役立ちます。国や地域ごとの文化の違い、考え方の違いも美術史を通じて理解することができますから。社員向けの研修プログラムとして、当社が提供できることがもっとあると確信しています。HPを通じて、その意義や魅力を発信していきたいです。
この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
株式会社中村デザインスタジオ
TEL:03-5457-3231
URL:https://www.nakamura-design.co.jp/
(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社)
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